愛にアイスのたとえもあるさ

 

外には見えない敵だらけのこんな世の中だから、気晴らしに街を歩いていい感じの喫茶店でコーヒーブレイクなんていうちょっとした気分転換が叶わない。自分の機嫌は自分で取らねばならず、それなら自分のおやつも自分で用意しようと思い立って、先日プリンを手作りした。何度か失敗したけれど、最終的には自分なりのベストなやり方を導き出すことに成功。喫茶店風の美味しいかたいプリンを在宅にして楽しめるようになった。

で、このプリン作りが思いのほか楽しくて楽しくて。普段お菓子作りなんて全然しない私は自らの手でおやつを生み出す歓びへの免疫を持ち合わせておらず、美しいプリンが皿の上にふるりと躍り出たときの爆発的な嬉しさに年甲斐もなく跳ね回ってしまった。そしてダイニングテーブルの周りをぐるぐると舞い踊りながら「手っ取り早く自己顕示欲と創作意欲と時間と小腹と甘いもの食べたい欲を満たすには、ちょっとしたお菓子作りがベストだな」ということまで悟った。弊害として普段何気なく口にしている菓子類にどれだけ砂糖やバターなどの太りそう案件が絡んでいるのかについても身をもって知ってしまったわけだけれど、自ら手を動かして作った手間があるから実質カロリーゼロというやつだね。これから先つらいことがあったらお菓子をたくさん作って全部忘れちゃおう、と女児向け漫画にでてくるサブキャラの女みたいなことを思う。

そんなわけで味をしめた私が今度はアイスクリームを作りましたので以下にご報告致します。

 

バニラアイスクリームの作り方

〈材料〉

・牛乳 350ml

・生クリーム 100ml

・卵の黄身だけ 中くらいの卵3個分

・砂糖 大さじ3

・練乳(余ってたのでなんとなく入れました) 大さじ2

・バニラエッセンス 少量

 

〈作り方〉

① 牛乳と生クリームとバニラエッセンスを小鍋にいれて温める。

このとき沸騰はさせてはならないらしい。沸騰直前の微妙なフツフツ……って状態をキープ。牛乳の水分をそこそこ飛ばすイメージ。あったまったら火を止めてしばらく冷ましておく。

 

② 牛乳を冷ましてる間に、卵の黄身と砂糖と練乳をボウルに入れてよく混ぜる。

 最初、黄身だけ取る方法がわかんないのに卵をコンコン割っちゃって焦った。2つに割れた殻のそれぞれに中身を行ったり来たりさせてたら白身だけズルンと落ちていって、奇跡的に黄身だけをピックアップすることができた。(あまった白身部分はもったいないので小麦粉と冷蔵庫の残り物を混ぜてチヂミみたいな何かを作りました)

 

③ 冷ました牛乳を②の黄身たちの中に入れてまぜる。

 せっかくあっためた牛乳を冷ましたのは、ここで卵と混ぜるときに熱いままだと卵がかたまっちゃうから。

 

④保存容器にいれ、蓋をして冷凍庫へ。

保存容器は金属製のものが冷えやすくていいみたいだけど、そんな都合の良いもの持ってなかったのでガラス製の保存容器に入れました。蓋付きで密閉できるやつがいいね。

 

⑤時々混ぜながら凍らせる。

冷凍庫に入れ3〜4時間経ってうっすら凍ってきた頃にまず1度取り出し、まぜる。その後も定期的にまぜる。ムラなく凍ったらできあがり。

 

凍っていく過程は面白かったので、混ぜるために取り出すたび写真を撮ってある。

 

凍らせる前。

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アイスとはほど遠い姿。これだけ飲んだら甘くておいしい変な牛乳だった。

 

約4時間後

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外側から凍っていくみたい。混ぜるとしゃりしゃりしている。水っぽい部分と脂っぽい部分が分離しつつあり不安になった。

 

さらにそこから約1時間後

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だいぶアイスっぽくなった。いちいち混ぜるのがめんどくさくなってくるが、水分が水分でまとまって先に凍ろうとするので、定期的にまぜないと恐らくうまくできなさそう。

牛乳の油分の変化か色が少しオレンジみを帯びてきた。

 

さらに2時間後

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かなり凍ってきた。でもまだゆるいというかシャリシャリしてる。これ以上凍ったらもう混ぜられなさそうなので、かなり念入りに混ぜるが、アイスを混ぜている感じはまだしなくて変な感じ。柔らかいアイスとか、シェイクとかとも違う。溶けている感じとも違う。

 

そういえばこれは聞いた話だけれど「溶けてしまったアイスを再び凍らせても、元のアイスに戻ることは分子的にない」らしい。かなり昔、元彼とヨリを戻してしまいがちだった私に、誰かが例え話の1つとして教えてくれた。

私は中学3年の時初めてできた恋人に卒業を待たずしてフラれ、高校に入ってしばらくしてからまさかの復縁。しかしすぐにまた彼に別の好きな人ができてあっけなくさようなら。そうして本当の終わりを迎えたはずが、数年後大学に入ってから3度目の正直と言われてまた復縁してしまった。初めて心から好きになった人だったので再会はいつも嬉しかったが、復縁を重ねるたび以前のように手放しで好きとは思えなくなっており、結局最悪の形で別れた。自分にとって初恋の淡く美しい思い出の彼だったはずの人が最終的にわけのわからない存在になってしまったことがとてもショックだった。

それでやさぐれていた時にこの「溶けたアイスの話」を聞いて、私はひっくり返るくらいハッとしたのだった。溶けたアイスが元のアイスと同じものには戻ることはあり得ないように、終わった恋をやり直そうとしたってもう元の2人には戻れない。何度も溶かしては無理やり凍らせることを繰り返し得体の知れない何かになってしまった愛のことを思うと今でも少しだけほろ苦い気持ちになるんだけれど、なんで楽しいアイス作りの最中にそんなこと考えなきゃいけないんだよ。アイスじゃなくて元彼を造ろうとしてるみたいになってきちゃう。あの頃の記憶を元に初恋を再構築しようとしてるみたいな……。

嫌になってきたので蓋を閉めて封印。冷凍庫へ眠らせ、シャワーに入って私も寝た。

 

起きたら冷凍庫の中にちゃんとアイスができていた。作ってる時から気付いてはいたがかなりの量だ。市販のものよりもシャリっとした食感で、アイスクリームというよりアイスクリンて感じ。昔の喫茶店とか海の家の。最初に牛乳をもう少し煮詰めていたらもっとクリーミーになっていたのかも。さっぱりしていて美味しいので私はこれで良い。

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反省点としては、もっと甘い方が良かったなということ。もっと砂糖を入れてしまえば良かった。

それから、冷凍庫から出した直後はめちゃくちゃ固いので、とてもじゃないけど掬いとることができず、いちいちレンジで20秒ぐらいチンしてちょっと溶かしてから食べていること。笑えるよね。これに対する改善方法はわからない。

 

報告は以上。次はハート型のピンクのチョコ(大きい。チョコペンでLOVEと書いてある)でも作ろうかと思います。

 

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ほろよいクリームソーダ味に浮かべて大人のクリームソーダにしました。